古代に存在したウミサソリ。

現在は絶滅してもういない生物ですが、ウミサソリについてどれくらい知っていますか?

名前にサソリとついているし、ウミサソリってサソリの仲間なの?と思うかもしれませんが…

そう聞かれると、答えはノーなのです。

なぜなのか?
これから解き明かしていきましょう。

  • ウミサソリってどんな生き物?
  • いろんなウミサソリたち
  • ウミサソリとサソリは親戚?

あなたがウミサソリの魅力という名の毒にやられてしまわないように…!

ウミサソリってどんな生き物?

ウミサソリは古生代オルドビス紀(4億4000万年〜5億年前)に誕生しました。
そのオルドビス紀のなかでも後期にあたります。

ウミサソリという名前だとサソリの仲間かと思いがちですが…カブトガニの仲間になります。

では、ウミサソリの大きさはどれくらいだと思いますか?

体長は種類によって違いますが、5センチメートルのものから2メートルを超えるものまで
大きさの範囲がとっても広いのですね。

ところで、このウミサソリ。

カブトガニの仲間というものの、姿かたちはカブトガニとは全然似ていません

基本的にウミサソリは平べったくて体に節があります。

これはカブトガニとウミサソリ、両方の先祖といわれている生き物に共通しています。
それは何という生き物でしょう?

答えはパレオメルスです。

パレオメルスの特徴としては、体の節があるのはもちろん、尻尾は細長く(尾剣といいます)、この鋭い尾を使って獲物を刺して捕らえていました

鋭い尾剣で獲物を捕らえるところは、この後紹介する毒針を持って進化した一部のウミサソリを想像させますね。

 

さて、ウミサソリは時代の流れとともにいろんな種類のものが出てきましたが、どんなものがあるのでしょうか?

ウミサソリの種類

ブラキオプテルス

ウミサソリのなかでも最も古い生き物です

体長は5センチメートルほどで、顔にあたる部分も平べったくて、ちょっと宇宙人のグレイを想像させる顔立ちなのが特徴です。

海でも浅瀬に生息し、一番前の一対の足で獲物を捕らえて、三葉虫、貝類や小型の甲殻類を主に食べていたとされています。

スティロヌルス

見た目がサソリとよく似ています

特に尻尾が上がっているところが…

尻尾の部分が針のように細くなっているため、この部分が毒針なのではないかといわれています。

スティロヌルスは海底を歩く生き物。

ということで、同じく海底を歩く生き物を続けて紹介します。

ミクソプテルス

こちらは体長75センチメートルほどと大きいです。

前足からヒゲのようなものが複数出ているのが特徴で、クモやサソリの親戚にあたります

見かけはクモには似てないので意外ですね。
サソリなら分かります…尻尾にトゲがあるので。

ユーリプテルス

海を泳ぐ生き物です。
後ろ足の一対が平べったくなっています。

ここで問題。
この一対だけが扁平なのは、何のためだと思いますか?

それは、泳ぎやすくする為に扁平な作りになっているのですね。

スイスイと泳げることができてとても便利だなと思います。

カルシノソマ

こちらは体が丸く平べったい形になっています。

体長は30センチメートル〜最大で90センチメートルと幅広いですね。

こちらも尻尾の先にトゲがあるので、その部分は毒針だとされています。
そんな大きいウミサソリには刺されたくないですね!

次もやや大きめの生き物です。

メガログラブトゥス

体長は1メートルほどと大きいです。

日本語で大きな筆石といわれているのですが、それはなぜかというと…

前足の一対がトゲのように細長いものが複数に渡って並んでいて、それが筆に見えたからだとされています。

前足の部分、どことなくミクソプテルスと同じ構造をしていますね。

この細いトゲの役割は、海底で餌を探すときのセンサーとして役立っています

では最後にインパクトのあるものを…

巨大ウミサソリ

プテリゴートゥス

なんと体長3メートルという大きさ!

この生物もユーリプテルスと同様、後ろ足に泳ぎやすくするための扁平な足がありますが、それだけではありません。

何かわかりますか?

それは尾の部分も平べったいこと。
なので、泳ぎの速さはスティロヌルスより早いでしょうね。

また、ハサミも持っていたので獲物も捕食していたとされています

こんな大きなウミサソリに襲われたらひとたまりもないですよね…

以上、色々なウミサソリを紹介しました。

こちらの動画もご覧ください。

 

ところで、これらのウミサソリはもともとカブトガニの仲間。

一部の種類でサソリのような毒針を持っているウミサソリを紹介してきましたが、陸上にいるサソリと関連性はあるのでしょうか?

ウミサソリとサソリは親戚?

ウミサソリとサソリ。
同じ「サソリ」という名がついてるからには何か関係があるはず。

だって毒針のあるウミサソリがあるし、陸上のサソリとよく似ているし…と、思っていたのですが。

実際はどうなのでしょう?

答えをいうと、現在ウミサソリ=サソリの祖先という実証はまだされていません

ウミサソリはカブトガニ類に属しているのに対し、サソリはクモ類に属しているため、系統が違うのではないか?というのが定説になっています。

 

しかし、そうはいってもウミサソリとサソリは共通しているところがたくさんあります

同じ節足動物であること、尻尾に毒針があること…です。

また、海で生きていたウミサソリが陸地で生きるようになったという説があります

根拠としては書肺(しょはい)という、人間でいえば肺を司る呼吸器官が、ウミサソリの化石にあったこと。

これは陸地で生きている現代のサソリにもあります。

系統が違うといえど、同じ呼吸器官が存在すること、尻尾に毒針があるウミサソリもいるし、見た目もよく似ている…

これだけ共通項が多いなら、研究者はカブトガニ類とクモ類だから違う、という考えは捨て、サソリの祖先である根拠を探した方が証明ができるんじゃないかと個人的には思います。

 

以上、ウミサソリの生態と、さまざまなウミサソリたちの紹介、そしてウミサソリとサソリの関係について紹介してきました。

ではまとめに入ります。

ウミサソリについてまとめ

  • ウミサソリはオルドビス紀後期に誕生したカブトガニ類に属する生物で、節がありその体長も種類によってまちまち
  • 海中を歩くものとしてスティロヌルス、ミクソプテルス、海中を泳ぐものとしてユーリプテルス、プテリゴートゥスが挙げられる
  • ウミサソリの中でもサソリのように尻尾にトゲのあるものがある(スティロヌルス、ミクソプテルス、カルシノソマなど)
  • ウミサソリはカブトガニの仲間、サソリはクモの仲間なので関連性はないとされているが、体に節があったり毒針のあるものがあったり、書肺という呼器官があったり…と、共通項が多いので全く否定はできないとされている

 

サソリといえば「毒針に刺されたら、下手すると命を失う」というイメージがあるので怖い印象がありますよね。

ウミサソリも「サソリ」とついているからには怖いんだろうなと思っていました。
実際、種類によって毒針を持っていますし…

でも、泳ぐために足のつくりが扁平になっていたり、獲物を捕らえるために細かいトゲのようなものがあったりして…

効率よく生きるための体の作りになっていると知ると、何だか生きるために進化していく、その一生懸命さに愛しさを感じますね。

サソリとウミサソリは仲間じゃないのが定説ですが、あまりにも似ているところが多すぎて納得できない私。

いつかウミサソリもサソリの仲間だよと証明される日を願っています。