大陸移動説。
あなたも理科や地学の授業でも習った覚えがあると思います。
今ではユーラシア大陸やアフリカ大陸などいろんな大陸が存在しますが、かつてはこれらの大陸はひとつの大陸だった、という説のことですね。
今回はそんなウェゲナーの大陸移動説についてお話しします。
- ウェゲナーの大陸移動説とは?
- 大陸移動説の根拠は?
- 大陸移動説が認められなかった
- 新たな仮説 プレートテクトニクス
- 大陸移動による気候の変化は?
大陸移動説なんて昔授業で習ったし、もういいよと思ったそこのあなた。
ここでもう一度大陸移動説のことをおさらいしてみると、今の地球の現状はどうなっているのか、そして未来はどうなるのかが分かるので、チェック必見です。
ウェゲナーの大陸移動説とは?
ウェゲナーとはドイツ出身の気象学研究者。
彼が主張した大陸移動説とは、現在は世界中に存在する大陸は、もともとはひとつであったといっています。
それをウェゲナーはパンゲア大陸と名付けました。
それが、時代とともに何らかの原因で徐々に大陸同士が切り離され、大陸同士がぶつかって、そのぶつかった箇所の間で山が形成される、というもの。
ウェゲナー自身は当初この説を信じていなかったのです。
そんなある日、たまたま世界地図を見つめていた時のことでした。
アフリカ大陸と南アメリカのブラジル辺りの地形や北アメリカとユーラシア大陸がパズルのピースみたいに当てはまりそうだなと思ったのがきっかけでした。
確かに世界地図を眺めてみると、隣同士の大陸の端と端同士がよく似ている気がしますよね。
しかし、その何気ないきっかけから大陸移動説について発展させたのには、どういった根拠があるのでしょう?
大陸移動説の根拠は?
先程南北のアメリカ大陸とユーラシア大陸、アフリカ大陸がひとつの大陸だったというのではないか、という話をしました。
大陸移動説の根拠についてウェゲナーは大きく分けて生物学的な根拠と地質的な根拠、そして気候からみた根拠の3つの理由で根拠付けています。
生物学的な根拠
これはかつて大陸で生きていた生き物の化石が海を隔てていても共通しているということ。
生き物が泳いできたから広がったんじゃないの?
…と疑ったあなた。
確かにそれも一理あるかもしれませんが、カタツムリや植物の場合でも同じことがいえるのかといわれたら、そうはいかないでしょう?
カタツムリも植物も泳げないので、まさに地質学的根拠を裏付ける動かぬ証拠となるのですね。
発見された生き物の化石を頼りに各大陸という名前のパズルのピースを合わせると、ちゃんとひとつの大陸(パンゲア大陸)にまとまってしまうのです。
根拠についてはまだ他にもありますよ。
地質学的に見た根拠
これは海を隔てているにも関わらず、他の大陸間の端と端に共通した地層があるという発見から。
実はこの発見はウェゲナーの前に、ある南アフリカの地質学者も同じことを考えていました。
その人の名はアレクサンダー・デュ・トワ。
南アメリカ大陸の各国で地質調査をこなしていくうちに、地質が南アフリカと共通しているところに気づき、実際に論文を発表しています。
その後、ウェゲナーの大陸移動説の根拠としてこの地質学的根拠が出てきたわけですが、デュ・トワ自身もウェゲナーの仮説には賛成していたのだとか。
ウェゲナーデュ・トワが自分の掲げた根拠について賛同していたことはきっと心強かったに違いありません。
では、次の根拠は氷河から見た根拠です。
古気候的な根拠
大昔、世界は氷河に覆われていました。
5億4300万年前、つまり古生代の頃あたりの氷河の跡が今も主要な大陸に爪痕を残しています。
この氷河の爪痕というのは地層の岩盤に動物の鋭い爪で引っかいたような跡が残っているのが特徴的で、それらがオーストラリア大陸や南極大陸などの大陸に残っているんですね。
しかも、その氷河でできた傷には方向があって、それぞれの大陸が傷を負った向きに当てはめていくと、こちらもなんとパズルのピースがはまったようにぴったり一致。
氷河で削れた岩の傷でも大陸移動説が証明できるって驚きです。
それに極寒の南極大陸とも一緒の大陸だったなんて、想像できないですよね。
参考文献 地球と気象・自身を考える
「1.大陸移動説の提唱 ~世界地図を眺めていたドイツの気象学者~」 http://blog.sizen-kankyo.com/blog/2011/11/977.html
これら3つの根拠があってバラバラになっている大陸はパンゲア大陸というひとつの大陸だったのだとウェゲナーは証明したのです。
しかし、これらの根拠を提示したにも関わらず、他の研究者から否定されてしまいました。
一体どうしてなのでしょう?
大陸移動説が認められなかった
先に述べたウェゲナーの大陸移動説を決定づける根拠を3つ挙げました。
確かにいずれの根拠も大陸移動説を肯定していいものではあります。
しかし、そもそもどうやって大陸が分裂して移動したのかが、この3つの根拠では判断できません。
そのため多くの研究者達がウェゲナーの大陸移動説を否定してしまいました。
確かに、どの根拠もどういった行程で大陸が分断されてしまったのかという説明にはなっていませんよね。
ウェゲナーは周りから自分の仮説を証明しようと必死に努力しましたが、グリーンランドでの調査中に吹雪に巻き込まれてしまい、志半ばで命を落としてしまいます。
ウェゲナーが亡くなってからは大陸移動説そのものの存在もこのまま忘れられてしまうだろうと思ったある日、ひょんなことから新たな仮説が誕生しました。
それはどんなものなのでしょう?
新たな仮説 プレートテクトニクス?
それは第二次世界大戦後に出てきた理論で、その名もプレートテクニクス論。
プレートとは地面とは地球の表面を包む板のようなもので、年間で数センチメートルほどしか動きません。
この板(プレート)は複数あるのですが、隣同士のプレートの境目はどういう仕組みになるのかというと、まずはぶつかり合いになります。
ぶつかり合うことによって山ができたり、片方のプレートがもう一方のプレートの下に沈み込んで海溝が発生したりするんですね。
地面はプレートの上に乗っかっています。
片方のプレートがスルスルとのめり込むようになっていくということは、そのプレートの上に乗っている大陸も動いていく。
つまり大陸が他の大陸と近づいてきているということですね。
ずっと先の話になりますが、5000万年後の地球にある大陸や海は、現在とは別の世界なのではないかと思うくらい地形や海の形も変わるというデータが出ています。
オーストラリアと日本との距離がぐっと近くなっていたり、インドが今よりも東の位置になってアラビア海や紅海の形が変わったり…
もし私たちがタイムスリップでおよそ5000万年後の未来を上空から眺めるとしたら、地球の地形のあまりの変貌に驚きを隠せないでしょう。
参考 旅の情報〜世界の地理の世界から〜 「プレートテクニクスとは」http://chiri-tabi.com/chikei/platetectonics.html
こうして見てみると、大陸移動説は根拠だけでは証拠にならなかったけど、プレートテクニクス論が出てくることによってよりウェゲナーが主張したものを強固にしたといえます。
私自身もこのプレートテクニクス論には大陸の間が近づくという根拠は大陸移動説の説明を納得できる形で証明してくれていると考えています。
実際にハワイも少しずつプレートに乗って日本に近づいているということですし…
しかしそうなるとひとつ疑問が湧きます。
大陸が移動するということは、気候も変わってしまうのでしょうか?
大陸移動による気候の変化は?
大陸が動くということは、現在の位置からズレてしまうということ。
そうなると今まで温帯だった地域が熱帯地域になったり、寒冷地域になったりする可能性だってありますよね。
それに伴って大陸に生息する生態系全体にも影響が出てきます。
もし暑い気候を好む植物が寒冷地域になってしまったら途端に枯れ果ててしまうし、動物たちも本能で生き残るのにも限界があり、最悪絶滅してしまうことだってあるのですね。
しかもただ大陸が移動して単純に暑い地域と寒い地域が変わる、というわけではありません。
大陸が動くということは、これもまたプレートが動くということ。
その分それぞれのプレートの境目で歪みが起こると火山活動を促すきっかけとなるんです。
新しい山脈ができる一方、火山があちこちで発生すれば周辺の気温は上昇。
それが世界複数箇所も出てくるとやがては地球規模で気温が上昇しても大げさではないということに。
火山から出てくる二酸化炭素の量の増加で地球が温暖化してしまうのです。
今も工場の煙や自動車による温室効果ガスのことについて騒がれていますが、自然災害も地球温暖化に関わっているのには驚きです。
また、海の海流の暖かさの範囲によって氷河の範囲も変わりますよね。
これは熱帯からの暖かい海流が南極や北極に届く距離が近いほど氷は溶けやすいからです。
氷が減るということはこれもまた地球温暖化に関わってくるのですね。
冷やすものが少なくなるということですから。
地球では過去に何回かいくつかの種の絶滅を経験しています。
いずれも急激な気候の変化があった時代(氷期など)に絶滅したといわれていますね。
参考 浅野雅義 【人口問題】大陸移動が気温変動の主要因 http://www.rui.jp/ruinet.html?i=200&c=400&m=219751
大陸移動によって実際に絶滅している生物がいるので私たちも他人事とはいえないとわかります。
何となく絶望してしまいそうですが、あくまで大陸の移動は急激に近づいて気候の変化が発生するわけではなく、年間数センチメートル単位で動くので、今すぐ生態系が危機にさらされることはないでしょう。
しかし、我々は予防策を今から考えなくてはなりません。
例え遠い未来でも、科学的に起こりうる可能性もあるなら、種の保存についての意識を持たねば、全ての生態系が絶滅してしまうという最悪の未来が訪れてしまいます。
専門家を含め、今後も真面目に対策について語り合うことや、大陸移動説のメカニズムの更なる研究の発展を願うばかりです。
では、大陸移動説の説明についてまとめます。
大陸移動説の説明まとめ
今回は
- ウェゲナーの大陸移動説とは?
- 大陸移動説の根拠は?
- 大陸移動説が認められなかった
- 新たな仮説 プレートテクトニクス
- 大陸移動による気候の変化は?
大陸移動説を学んできました。
改めて地球も生き物なんだと実感しますね。
生物学的にいえばもちろん違いますが、血液もなくて呼吸はしていなくても常に地殻が動いていたり、プレート同士がぶつかって火山の噴火や地震が起きたりと、留まることを知りません。
ウェゲナーの大陸移動説は、私たちは地球に生まれて、地球に生かされているということを忘れてはいけないと考えさせられるテーマだと思います。