あなたはシュレディンガーの猫と聞いて何をイメージしますか?
・・・何かの物語?
それとも何かの曲のタイトル?
いいえ、違います。
シュレディンガーの猫は、物理の分野の理論なのです。
猫を使って、一体全体どういう理論が展開されるのでしょうか?
あなたは想像できますか?
- シュレディンガーの猫とは何か?
- 2つの理論の矛盾がシュレディンガーの猫を生んだ
- シュレディンガーの猫は想像力を掻き立てる?
これからシュレディンガーの猫について説明します。
物理がわからないあなたも、得意なあなたも関係なく、シュレディンガーの猫のことを知ったら物理がもっと好きになるかもしれません。
シュレディンガーの猫理論とは何か?
シュレーディンガーの猫は、物理の中でも量子力学の理論になります。
そもそも、量子力学とは何でしょうか?
「量子」といえば、化学式がわかりやすいでしょうか。
CO₂(二酸化炭素)、O₂(酸素)は化学の授業でご存知かと思います。
二酸化炭素や酸素という「物質」を作るものの総称として量子というのですね。
量子も色々あり、原子や分子、電子も量子です。
原子や分子、電子は目に見えないとても小さな物質。
なので、力学的な分野は規則性が予測できますが、量子レベルになるとどういう法則で動いているのかが解明しづらい分野。
それを解明するぞ!・・・という分野なのです。
ということは、シュレディンガーの猫も、細かい粒子と関係していることがわかりますね。
その粒子とは何でしょう?
あなたも聞いたことがあると思います。
それは素粒子。
素粒子も非常に細かいのでいろんな方向に向かってしまいます。
中心から見て左だったり右だったり、時には上下してたりと不確定なんですよね。
こういった不確定な現象を、コペンハーゲン現象といいます。
1935年、そんな理論に疑問符をつけたのが、エルヴィン・シュレディンガー。
シュレディンガーは、放射性原子を箱に入った猫に浴びせた場合について、生きてるか死んでいるかは箱のふたを開けてみるまで分からない、としています。
つまり、一匹の猫に、生きている可能性と死んでいる可能性も起こりうるということです。
どういうこと?と思いますよね…
もう少し詳しく説明します。
もし放射性原子がどんな風に動くかが分かれば、猫が死ぬ確率は0か100パーセントしかありません。
しかし、量子力学でいうと、猫が死ぬ確率が例えば50パーセントだったら、残りの50パーセントは生きているという矛盾が残るのです。
こういった矛盾を、シュレディンガーは疑問を投げかけたものなのですね。
ちなみに、このシュレディンガーの猫は実験してみたものではなく、あくまで理論で述べたものです。
何か意図があるのでしょうか?
シュレディンガーの猫を生んだ2つの理論の矛盾
先ほど、箱に入った猫に放射性原子を浴びせたら、生きてる可能性と死んでいる可能性がパーセンテージで表されるといいました。
この、複数の可能性が起こりうる状態を、「重なり」といいます。
量子力学では実験すると、観測されるターゲットの状態があまりに小さいものなので、毎回変わってしまうという考えに基づいています。
ところが、目に見える物質である理論でいうと、パーセントの確率で死ぬか生きるかなんてことはそもそもないのです。
0パーセントか100パーセントの確率の結果でしか表されません。
これは、先ほどもいいましたよね。
それに、目に見えるものは、実験をしている時に観測の状態が変わることもありません。
シュレディンガーは、目に見えない量子力学を目に見える分野の常識の型にはめるため
放射性原子の入った箱にいる猫の例でいいました。
1時間以内で50パーセントの確率で壊れる放射性原子。
その放射性原子を見つけ、それを壊すガスを一緒に箱の中に入れたなら…
その猫の生死はどうなるのでしょうか?
ひとつの実験において、死んでいる状態と生きている状態が同時に起こりうるという現象になってしまいます。
生きてると同時に死んでるって意味がわからない!
なんて思いますよね。
量子力学の分野を目に見えるマクロの分野にあてはめると、意味のわからない状態にさせてしまいます。
シュレディンガーは、実験するのも馬鹿げていると真っ向から否定しているということなのですね。
同じ物理の分野でも物質の大小によって理論は変わるし、何だか強引な理論だなと個人的には思いますが…
でも、こういう斬新な視点がないと研究者にはなれないなとも思いました。
そんな訳で、実験によって証明されてもいないシュレディンガーの猫の理論。
シュレディンガーが量子力学の理論を真っ向から否定されているものの、実際に実験して証明できないものか気になるところです。
シュレディンガーの猫は想像力を掻き立てる?
さて、あなたはシュレディンガーの猫の実験は実現可能と思いますか?
残念ながら、現代の科学では実現不可能とされています。
なぜかというと、猫を入れる箱の条件が、光や音をも遮断する完全に密閉された箱というのは無理な話だからです。
必ずどこかしら隙間が存在するので、正確な値が出せません。
それに、隙間の大きさによって猫の生死が確認できてしまいます。
なので、どう頑張っても実験できない…
実現不可能なあまり、空想が膨らんで果てはパラレルワールドだなんていう声もちらほら出てきています。
観測によって、猫が生きていたり死んでいたりする可能性を想像する「if」の世界。
シュレディンガーの猫は、Ifという想像の世界でできているからこそ楽しく、時に白熱して討論できるんだと思います。
シュレディンガーの猫について述べてきました。
たくさん書きましたので、最後にまとめます。
シュレディンガーの猫まとめ
今回はシュレディンガーの猫について説明しました。
シュレディンガーの猫は量子力学の分野になるので、量子力学とはどういう意味かを説明しました。
量子力学と目に見えるマクロの世界の矛盾点をシュレディンガーが唱えましたね。
- 量子力学の理論でいくと、シュレディンガーの猫は生きているか死んでいるかの確認がパーセンテージで表されます。
それに対して、私たちが普段目に見える大きさであるマクロの視点でいくと、パーセンテージは0か100しかありません。
シュレディンガーは、箱の中に放射性原子を浴びせた猫を量子力学をマクロの理論で当てはめていくと、猫は生きていると同時に死んでいるという「重なり」ができてしまいます。
そんなのはおかしいとシュレディンガーは主張しました。
- シュレディンガーの猫は量子力学の矛盾点をついたものですが、実際は実現不可能な要素が強いため、実験はされていません。
そのため、想像力を余計掻き立てられ、もしも…と想像する楽しさがあるから、シュレディンガーの猫に興味をもつ人々が今日も討論されているのでは?と私は考えています。
シュレディンガーの猫。
もし科学技術が進歩したら、実現不可能な実験も可能になる訳で…
そんな日が来たら、猫が生きているのか死んでいるのか「if」論も終わりが来るのでしょうね。
ともすれば猫が犠牲になってしまうのは、ちょっと可哀想な気もします。
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