今、世界の天文学者が最も注目している星、それがベテルギウスです。
なぜなら、ベテルギウスは、今まさに恒星としての寿命を全うし、消滅寸前の状態だからです。
ベテルギウスは、太陽の20倍もの質量を持つ赤色超巨星です。
そのような巨星が、どのように消滅するのでしょうか?
ベテルギウスの消滅が、なぜ、それほどまでに注目を集めるのでしょう?
次の流れで、その謎を解き明かしていきます。
- ベテルギウスの超新星爆発はいつ起こるのか?
- ベテルギウス超新星爆発の地球への影響は?
- 超新星爆発はデマ?
- ベテルギウスの超新星爆発、注目ポイントは2つ!
- まとめ
それでは詳しく解説してきますね!
ベテルギウスの超新星爆発はいつ起こるのか?
実際のところ、「分からない」というのが正しい答えです。
これは、地震の予測や自然災害の予測と似たような側面があって、ざっくり言ってしまえば自然現象だからです。
ここからは、その大前提を踏まえた上でのお話です。
自然現象だから、いつ起きるか分からない?
でも、そこをなんとか、予測してみようじゃないか!
それが、科学の力です。
現在の科学で予測できる、ベテルギウスの超新星爆発が起こる時期は、今すぐ~1万年後とも、今すぐ~100万年後とも言われています。
ここでひとつ、根本的な疑問です。
地球からベテルギウスまでの距離は、640光年です。
つまり、ベテルギウスが爆発した時に出る光が地球に到着するまでに、640年かかるということです。
じゃあ、今まさにベテルギウスが爆発したとしても、地球にいる私たちがそれを知るのは、640年後じゃないの??ってことです。
予測って言ってるけど、実はもう過去に爆発は起きていて、私たちがそれを知らないだけなのでは??とも考えられますよね。
さぁ、頭が混乱してきました。笑
安心してください。
天文学の世界では、宇宙の現象が発生した時間は、それが「観測」された時間を基準としています。
地球時間基準です。
ですので、実際には640年前に起きた爆発だろうが300年前に起きた爆発だろうが、その爆発が観測された時が、爆発の日時となります。
ベテルギウスの超新星爆発は、今のところまだ観測されていないので、天文学的には、まだ発生していないということです。
何光年はなれているからうんぬんということは、まずは考えないようにしましょう。
そうでなければ、何か宇宙の事象が起こるたびに、その星と地球との距離によって、発生した時期をそれぞれ計算しなければいけないことになり、大混乱です。
ただ…、ただ…、ですよ。
ベテルギウスの超新星爆発が、今後近いうちに観測されたとして、20xx年x月xx日がその日と記録されたとしましょう。
その時、あなたは、
「あぁ、でも、ベテルギウスは、本当は、640年前に、地球の人間には誰一人知られることなく、ひっそり消滅して行ったんだなぁ。
そのころ日本は、室町時代の隆盛期…。足利義満が金閣寺を建てて、一休さんととんちくらべでもしていたのかなぁ…」
なんて、想像しているかもしれません。
それが、宇宙のロマン、天文学の醍醐味ですよね。
さて、話を元に戻して、ベテルギウスの超新星爆発はいつ起こるのか?
「今すぐ」かもしれないし、1万年後かもしれない、もしかすると100万年後かもしれない。
えっ?!?!
1万年後??
100万年後??
それって、予測って言えるの??
遠い、遠い、未来だと思いましたか?
でも、137億年と言われる宇宙の歴史から考えると、一瞬とも言える誤差なんですね。
宇宙の歴史を分かりやすく1年に換算すると、100万年は、たったの38分。
1年のうちの38分ですよ。
たった0.0072%です。
現代の科学で言える予測としては、これぐらいの幅が出てしまいます。
でも、忘れないでください。
100万年後かもしれないけど、「今すぐ」かもしれないのです。
なぜ、そんなことが言えるのかと言うと、ベテルギウスは今、燃料が燃え尽きる寸前の状態であることが分かっているからです。
どんどん膨張を続けていて、もうすでに、直径が太陽の1000倍にもなっていると言われます。
そして、臨界点を超えると、ほぼ間違いなく爆発が起きると推測できるのです。
こうしている今も、膨張をし続け、やがて、大爆発を起こすのです。
ベテルギウス超新星爆発の地球への影響は?
一番気になるのは、やはり、地球にどんな影響が出るの?ってことですよね。
爆発の衝撃波で、地球がぶっ飛ぶ?!
強烈な放射線が地球に降り注ぐってホント?!
私たちは、どんな現象を目にすることになるの??
1:爆発の衝撃波の影響
衝撃波が届くのは、数十光年の範囲です。
ベテルギウスは地球から640光年離れているので、衝撃波の影響が出ることは考えられません。
まずは、一安心ですね。
2:放射線の問題
超新星爆発が起きると、「ガンマ線バースト」と呼ばれる強烈な放射線が放出されます。
この、ガンマ線バーストは、数千光年先まで届くと言われています。
地球ももちろん射程内に入ってしまいます。
しかし、ガンマ線バーストは、衝撃波のように周囲全体に拡散されるものではなく、レーザービームのように、直線状に放出されるものです。
そして、ガンマ線バーストのコースは、太陽系から外れていることが分かっているので、こちらも安心です。
3:私たちが目にする世紀の大天体ショーとは?
まず、爆発によるエネルギーで、赤いベテルギウスが青い星に変色します。
もともと1等星だったベテルギウスの明るさが、満月の100倍の明るさとなって空に輝き始めます。
夜の街を明るく照らし、昼間は、まるで太陽が2つあるかのような明るさで、空に輝くでしょう。
その明るさは、約3ヶ月続くと予測されています。
4ヶ月後、ベテルギウスは、青からオレンジに変化し、その後赤になり、徐々に光を失っていきます。
約4年の歳月をかけて、ベテルギウスは完全に消えてなくなるのです。
そして数百年後、超新星爆発の残骸として残ったものが、星雲となって地球から観測されるかもしれません。
超新星爆発はデマ?
ベテルギウスの超新星爆発を、デマと言われたら、科学者は悲しむでしょう。
確かに、「いつ起こるの?」と聞いて、「今かもしれないし、100万年後かもしれない」と言われたら、「な~んだ、デマじゃん」って思うかもしれません。
でも、天体や宇宙に流れる時間の感覚は、地球人が感じている時間の流れとは、スケールが全く違います。
先ほど例に挙げた、137憶年の宇宙の歴史を1年に換算すると、1月1日0時0分に宇宙が誕生したとして、人類が誕生するのは、なんと、12月31日21時30分なのです。
その感覚で考えると、100万年なんて誤差のうちです。
大目に見てください。
現在の科学で分かっている範囲のベテルギウスの現状を見ると、間違いなく「近いうちに」超新星爆発を起こす条件が整っているのです。
ベテルギウスの超新星爆発、注目ポイントは2つ!
では、これほどまでに、なぜ、ベテルギウスの超新星爆発に注目が集まっているのでしょう?
その理由は2つあります。
人類が初めて経験する、近距離で起きる超新星爆発だから
人類がかつて経験した、記録に残る最も近距離の超新星爆発は、1054年のSN1054です。
日本はまだ、平安時代ですね。
宇治の平等院鳳凰堂がこのころ、完成しています。
SN1054は、地球から7000光年はなれていました。
ベテルギウスが640光年ですから、ベテルギウスより10倍以上も遠い星だったのです。
それでも、半月に近い明るさで輝き、約2年ほど見え続けたと記録されています。
その残骸が、今は「かに星雲」として観測できます。
そして近年になって観測されたもう一つの有名な超新星爆発があります。
それが、1987年のSN1987Aです。
この星は、地球から遥か16万数千光年もはなれたところにありました。
地球からベテルギウスまでの距離の、実に250倍以上もの距離です。
それでもなお、この超新星爆発は世界を騒がせました。
というのも、それまで超新星爆発について研究が進められていたものの、誰も肉眼で見たことがなかったからです。
そしてもうひとつ、SN1987Aが有名になった理由があります。
それは、岐阜県神岡のカミオカンデ(スーパーカミオカンデの前身)で、ニュートリノの観測に成功したからです。
ニュートリノは、太陽などからも観測できますが、超新星爆発に伴うニュートリノの観測は、世界で初めてでした。
このことによって、超新星爆発の理論が正しいことが証明され、その後ニュートリノ天文学という新しい学問が誕生するきっかけとなりました。
この功績によって、2002年に、小柴教授がノーベル物理学賞を受賞するのです。
ニュートリノは、超新星爆発が起こる数時間から数日前に放出される素粒子です。
爆発からの光は、ニュートリノより後に星から放出されるので、ニュートリノを観測することで、爆発の瞬間をとらえることができるのではと期待されています。
現在、スーパーカミオカンデでは、この世紀の瞬間を逃さないよう24時間体制で監視をしています。
そして、ニュートリノを観測したら、その時間や数、方向などの情報を、世界中の天文台に連絡することになっています。
是非とも、ベテルギウス超新星爆発のニュートリノをとらえ、爆発の瞬間からの観測を成功させてほしいですよね。
ちなみに、超新星爆発という名前の由来は、恒星が爆発する瞬間に、凄まじい光を発するので、まるで、すごくまぶしい新しい星(超新星)が出現したかのように見えることから、名付けられています。
では、ベテルギウスの超新星爆発に注目が集まるもうひとつの理由です。
ベテルギウスが、冬を代表する超有名な星座、オリオン座を構成する星だから
星座に詳しくない人も、天文に興味がない人も、一度はどこかで目にしたことがあるのではないでしょうか。
それほど有名なのが、オリオン座です。
四角を作る4つ角の星。
その四角の中央あたりに、斜めに3つ並ぶ星。
この7つの星で、オリオン座は構成されています。
その四角の左上の角の星がベテルギウスです。
1等級の赤く輝く星です。
その星が、爆発を起こして消滅してしまうのです。
ベテルギウスが消滅してしまったら、オリオン座もオリオン座ではなくなってしまいます。
天文ファンでなくても、ちょっとさみしい気がしませんか。
それで、ベテルギウスの超新星爆発が注目を集めています。
さあ、今こうしている間も、ベテルギウスは着実に、恒星としての寿命を終えようと脈動を続けています。
ベテルギウスの超新星爆発は、今日、起こるかもしれないし、明日、起こるかもしれません。
見てみたいですね^^
ベテルギウス超新星爆発について〜まとめ〜
ベテルギウスの超新星爆発が、決して都市伝説のようなものではないことを感じていただけたでしょうか?
ましてや、根拠のないデマやウワサなどではありません。
いつ起こるのか?
それは分かりません。
でも、必ず起こることです。
地球への影響は?
爆発の衝撃波、放射線の影響はありません。
その代わり、超新星となったベテルギウスの、超スペクタクルな大天文ショーが観測できるでしょう。
私たちは、この、世紀の一大イベントに、生きている間に立ち会うことができるでしょうか?
非科学的な話で申し訳ないのですが
超新星爆発の時期に関連して少し気になる記事があるのですが
紹介させていただきます。
新約聖書ヨハネ黙示録18章より引用
18:1この後、わたしは、もうひとりの御使が、
大いなる権威を持って、天から降りて来るのを見た。
地は彼の栄光によって明るくされた。
18:2彼は力強い声で叫んで言った、
「倒れた、大いなるバビロンは倒れた。」
そして、それは悪魔の住む所、あらゆる汚れた霊の
巣くつ、また、あらゆる汚れた憎むべき鳥の巣くつとなった。
以上抜粋
これは人類の終末期に起きる出来事を描写したものの一部ですが
ベテルギウスの超新星爆発は、地球上を明るく照らすほどで
あることから、この時ちょうど超新星爆発が起きていると、
このように表現出来ると考えます。